アニメ「バジリスク」に登場するメインキャラクターは、全部で20名です。
その中には恋の鞘当てもあり、相思相愛のラブラブカップルも存在します。
もちろん、仲睦まじい公式カップルも魅力的であり大好きです。
しかし私は、報われない恋心を抱えた片想いメンバーも、それはそれでとても惹かれるものがあります。
今回は、そんな彼らと、その魅力についてお話させて頂きます。
アニメ「バジリスク」片想いキャラクター
陽炎
まず、片想いキャラクターで思いつくのは甲賀の女性忍者「陽炎」(かげろう)でしょうか。
主人公の弦之介に想いを寄せる、妖艶な美女です。
弦之介の恋人である朧が正ヒロインなら、陽炎は陰のヒロインというべき存在。
容姿といい家柄といい、忍者としての実力といい、本来ならば彼の妻になれる可能性も、十分にある陽炎。
しかし彼女は、毒を持つ特殊体質でした。
それは自分で制御することが出来ず・・・味方と恋に落ちることは許されない事。
その為、決して好きな相手と結ばれることが出来ません。
敵である伊賀の朧が、彼に選ばれ、夫婦約束をした・・・それを傍で見ているしかない陽炎は、どれほど口惜しく、哀しい気持ちだったことでしょう。
しかし彼女の特異体質が無かったとしても、恐らく弦之介は、朧を選んでいたと思われます。
どちらにしても、恋敵になれない・・・それは伊賀と甲賀が敵対して、弦之介と朧の間が割かれた後も、変わりませんでした。
朧への未練を捨てきれない彼の様子に、哀しみと苛立ちを静かに募らせる陽炎。
とうとう旅の途中、桑名の宿で、彼に想いを告げてしまいます。
「死にたいのです、弦之介さま……あなたと一緒に……」
彼女にとって想う相手に抱かれることは、その相手を殺すことと同義。
なんとも切ない告白です。
しかし、結局最後まで弦之介は彼女の想いに応えてくれることはありませんでした。
天膳との闘いの後、朧を殺せない弦之介の姿が、瀕死の陽炎を更なる絶望に叩き落します。
「朧を殺して」
と懇願する陽炎を抱き上げ、弦之介は去ろうとしますが・・・
今にも死にそうな陽炎は、毒の息で彼を殺すことを決意します。
共に生きることが出来ないならば、あの世へ彼を連れて行こうと。
「朧、お前は一人で生きながらえるが良い……」
朧へそう告げて、弦之介にとどめを刺そうとしますが・・・なんとも皮肉なタイミングで、目を閉ざす薬の効果が切れた朧。
彼女の視線により、陽炎の毒は効果が消え、弦之介を殺せないまま力尽きます。
朧の瞳に見つめられた者は術を無効にされてしまうのです。
その直前まで、敵の天膳に捕らえられ、壮絶な拷問を受けていた陽炎。
あまりといえば、あまりな最後。
20名の精鋭は皆、無残な最期を遂げますが……陽炎は中でも、特に気の毒な終わりを迎えたキャラクターに思えます。
愛し合いながら敵対してしまった弦之介と朧も悲劇ですが、恋のライバルにもなれなかった陽炎も、それはそれで、切ないです・・・。
筑摩 小四郎
そして、2番目に思いつく片想いキャラクターは「筑摩 小四郎」(ちくま こしろう)です。
原案の小説「甲賀忍法帖」では、あくまで主君である朧を「お仕えする姫として」慕い、敬っていた描写のある彼。
しかし原作漫画及び、アニメでは、朧に対して、密かに恋心を抱いているような描写が、いくつかあります。
良い雰囲気の弦之介と朧を見ていることに耐え切れず、思わず邪魔をしたり・・・。
高い場所から落ちた朧を、体を張って受け止めたり・・・(彼女が痛い思いをしないよう、とても優しい受け止め方です)。
そして、主である天膳が朧を無理矢理犯そうとした時、主人に逆らうことに抵抗を覚えながらも、苦悩していました。
結局彼女の悲鳴に耐え切れず、天膳に逆らってでも、朧を助けようとした小四郎。
アクシデントにより、彼が行く前に邪魔が入るのですが。
小四郎の身分は、頭領の手下である天膳の、更に子飼いの従者に過ぎません。
能力は高いものの、彼が望んだところで、朧の婿になることは難しかったでしょう。
彼女が敵の頭領である弦之介と恋をし、幸せそうな姿を傍で見るしか出来なかった小四郎。
ある意味、陽炎と近い、切ない立場でした。
しかも、朧の恋人である弦之介の術で攻撃を跳ね返され、自分のかまいたちで大怪我を負ってしまうし……そのせいで盲目になるなど、不憫な人物です。
伊賀の仲間である朱絹(あけぎぬ)に想いを寄せられますが、彼女と良い関係になる前に、敵の陽炎によって命を落とします。
血気盛んだけど、不器用で遠慮深くて、忠実な犬を思わせる小四郎。
モッサリした髪型も含め、私は彼がとても好きです。
朱絹
そして、第3の人物は、小四郎に密かな想いを寄せる朱絹。
元より、同じ伊賀の仲間ですが、大怪我を負い視力を失った彼を世話するうちに、だんだんと特別な想いを持ち始めます。
敵には容赦しないけれど、朧を始めとする仲間にはとても優しく、頼もしいお姉さんである朱絹。
切れ長の目の、妖艶な美女です。
そんな彼女、年下の小四郎が弱った姿を見たことで、庇ってやりたい気持ちが芽生えたのかもしれません。
何かと彼を気遣いますが、小四郎は数人の甲賀忍者と闘い、命を落としてしまいます。
彼の遺体に縋って泣く朱絹。
泣きながら地面を掘り、小四郎を供養する朱絹。
そして彼女は、仇の名を知り、復讐を誓います。
その仇とは、敵の女忍者「陽炎」。
陽炎が皮肉にも、朱絹に擬態して小四郎を殺したことを、朱絹本人は知りません。
知ったら、どれほど苦しんだことか。
小四郎も、少しずつ朱絹に惹かれ始めていたことを、彼女は知らないままでした。
陽炎を前にして、小四郎の大鎌を振り翳す朱絹。
大迫力で終始押しますが、最後は敵の罠に落ち、殺されてしまいました。
もしバジリスクの世界に「あの世」があるのなら、そこで小四郎と再会出来たのでしょうか。
そして、今度こそ想いを伝えることが出来たのでしょうか。
朧に恋する小四郎も、そんな彼に恋する朱絹の片想いも、とても控えめで、私は応援したくなるのです。
「弦之介と朧」や「夜叉丸と蛍火」等の両想いカップルも大好きですし、魅力的ですが。
今回ご紹介した「片想いメンバー」にも、ぜひ注目して観賞して欲しいと思います。
皆、それぞれのドラマがありますから……。
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