「好きな相手に最後を看取られたキャラクター」について。
今回は悲しい結末ながらも愛するものによって最後を看取られた悲恋キャラベスト3を紹介します。
アニメにはたくさんのストーリーがありますが、今回紹介するキャラクターは特に僕が感情移入したシーンばかり。
思い出すだけでも涙を浮かべてしまいます。
物語の中でも時に、死を迎えるキャラクターはいます。無念の最後を迎える者もいれば、満足して終わりを迎える者も。
現実と同じく、人の数だけ異なる終わりがあるのです。
そんな中、今回のテーマは「好きな相手に、最後を看取られた」キャラクターについて。
思いつく限り、ピックアップ&素晴らしさを解説させて頂きます。
「犬夜叉」桔梗
©高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2000
アニメ「犬夜叉」より引用
まず思い浮かべるのが、「犬夜叉」に登場する巫女・桔梗さまです。
彼女は五十年前に亡くなったものの、無理矢理復活させられ、それでも使命の為に戦い続けていました。
生前も今も、巫女として自分を律し、毅然としていた桔梗。
その姿は凛々しいけれど、どこか切なく、寂しそうでした。
主人公の犬夜叉と惹かれ合ったのは、お互い半妖と巫女という孤独な境遇に、通じ合うものを感じたのかもしれません。
生き返った直後は犬夜叉を恨み、その隣にいるかごめちゃんを恨み、全ての黒幕である奈落を恨み・・・。
しかし途中からは恨みを捨て、使命の為にひたすら戦い続けます。
奈落を倒し、不幸を生み出す「四魂の玉」を消滅させる為に。
しかし奈落の罠に落ち、必死で戦うものの、とうとう命を落とします。
真っ赤な夕陽の中、最愛の犬夜叉の腕に抱かれ、安らかな笑みを浮かべる桔梗。
それは使命をかごめに託し、全てから解放された、初めて見せる素の笑顔でした。
「やっと……ただの女になれた」
本当ならば五十年前に結ばれ、共に生きる筈だった、犬夜叉と桔梗。
彼が自分の為に流した、初めて見せる涙。桔梗の魂は救われ、光と共に天へと昇っていきました。
元より、死人である桔梗は、もう犬夜叉と結ばれることは叶わない身でした。
それでも沢山の人と絆を結び、誤解を超え、今度こそ彼と心を通わせた桔梗。
哀しくも美しい、救いのある最後でした。
この世のモノではない彼女にとっては、最良の終わりだったのかもしれません。
彼女が亡くなった時、物語がいよいよ佳境に差し掛かっていることを、強く実感しました。
「犬夜叉」神楽
順序は逆になりますが、「犬夜叉」ではもう一人、神楽も同様のキャラクターです。
彼女は敵である奈落側のキャラクターですが、その心は奈落から離れたがっており、敵とも味方とも言えない、独特の立ち位置でした。
終盤では人間らしい感情も見せており、自分と同じ利用される少年・琥珀を危険を冒して逃がします。
そのせいで、彼女の裏切りが露見し、とうとう奈落に処分されてしまいます。
身体を触手で貫かれ、大量の障気(毒ガスのようなもの)を注ぎ込まれ・・・。
©高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2000
アニメ「犬夜叉」より引用
必死で奈落の手を逃れますが、傷は深く、どんどん身体が崩れていきます。
花畑の中で一人、孤独な最期を迎えようとしていた、その時……彼女の前に現れたのは、主人公の兄である、殺生丸でした。
彼は誰よりも強い、孤高の妖怪。
神楽が内心で、仄かな憧れを抱いていた相手でもあります。
敵でありながら、癒しの刀で神楽を救おうと試みる殺生丸。
何度も顔を合わせるうちに、それなりに情が湧き、神楽を気に掛けるようになっていたのでしょう。
しかし癒しの刀が効く状態ではなく、神楽は最後の時を迎えます。
「逝くのか」
そう問われた彼女は、微かな笑みを浮かべて呟きます。
「ああ……もう、いい……」
あとの言葉は、口に出さず心の中で呟きました。
(最後に……会えた……)
恐らく恋愛感情はなくても、憧れの存在が、自分を救おうとしてくれた。
たった一人で戦い続け、夢見た自由を目前にして、命を落とした神楽。
そんな無念な最期ですが、殺生丸のおかげで、それはほんの少し救われたものとなりました。
最後は体が塵と化し、残ったのは髪飾りの羽、一枚だけ。
しかし神楽は風になり、今度こそ本当に自由を手に入れたのかもしれません。
なにせ彼女は、風を操る妖怪なのですから。
堪らなく寂しく切ないけれど、同時にほんの少しだけ、暖かい。哀しく美しい最後でした。
しかし、こうして思うと、二人とも散々奈落に苦しめられ、彼の手で命を落とした者同士。
立場は敵同士で、実際に戦ったこともある二人ですが……。
ある意味、桔梗と神楽は、奈落の最大の被害者かもしれません。
二人で愚痴を言いあったら、案外仲良くなれたような気もするのですが……?
「人魚の森」苗
もう一人挙げるとすれば、それは「人魚の森」のゲストヒロイン、苗さんでしょうか。
彼女は、主人公の湧太がかつて、心を通わせた女性。しかし不老不死の湧太と普通の人間である苗さんは結ばれず、二人は離れ離れになります。
しかし、六十年振りに訪れた地で、湧太は変わらぬ姿の彼女と再会しました。
命を落としたものの「人魚の灰」により、蘇った苗さん。
しかし生前の記憶は無く、見境なく人を殺す殺人鬼と成り果てていました。
彼女が覚えているのは、想い続けた湧太のことだけ。
待ち続けた湧太と再会した彼女は、童女のような安らかな笑みを浮かべます。
「良かった……私、とても怖い夢を見ていたの。本当に夢でよかった」
そんな彼女に、湧太は声をかけます。
「苗さん、一緒に村を出よう」と。
六十年前、苗さんが何よりも聞きたいと願い、叶えられなかった言葉でした。
その瞬間、ちょうど人魚の灰の効果が切れ、苗さんは幸福なまま、今度こそ本当の死を迎えます。
彼女の遺体を抱きしめ、涙を流す湧太。
不老不死の彼は、苗さんの後を追ってやることも出来ない・・・。
なんとも哀しく、切ない物語です。
以上が、私が思いつくベスト3です。
きっとまだまだ知らない、素晴らしい最後の場面があるのだとは思いますが……。
コメント