初夏にピンクの色や白の小花を咲かせ、強い香りを放つハーブ。肉料理の臭みを消したり、風味をぐんとよくしてくれることから、西洋では古くから親しまれています。茂りやすいので、成長過程で枝ごと収穫するようにし、常に新しくやわらかい芽を出させるようにしましょう。こんもり茂るので、ガーデニングの脇役としても最適です。
タイム
別名 タチジャコウソウ
科名 シソ科/多年草
原産地 地中海沿岸
草丈 10~30㎝
用途 ハーブティー、料理、ハーブバス、美容、ポプリ、切り花、ドライフラワー、ガーデニングなど
ふやし方 さし木、株分け、とり木、種まき
病害虫 比較的発生しにくい
植えつけ 3~6月、9~10月
開花期 5~7月
収穫期 1~12月
ふやし方 4~6月(株分け・さし芽)、9~11月(株分け・さし芽)
日照 日なたまたは半日陰
土 水はけのよい土、土の酸性を嫌う
水 土の表面が乾いたら与える
利用部分 花、葉、茎
効能・効用 強壮、風邪、殺虫、腐敗防止など
豆知識
タイムも古くから暮らしに取り入れられてきたハーブです。殺菌効果や腐敗防止の効能があるとされ、古代エジプトではミイラを作るときの防腐剤に使われていたとされています。また、部屋や神殿などを清めるときに使用されたり、悪夢を防ぐ安眠のために枕の下に敷かれたりと、さまざまな利用法で親しまれました。なお、古代ギリシャで男性に対する最高の賛辞は「タイムの香りをする男」だったといわれています。
育て方
苗の植えつけ
- よい苗を選ぶ…植えつけは春か秋に行います。葉色のよい苗を選びましょう。
- 土と容器…タイムは蒸れに弱く、水はけがよくないとうまく育たないので、水はけのよい土、容器などを用意します。
- 苗を取り出す…容器は5号鉢以上のものから始めましょう。取り出しにくい場合はポットを逆さにすれば上手に取り出せます。
- 深さを調整する…培養土に元肥を混ぜたものを入れ、苗を置いてみてバランスを調整します。根元がやや高くなるように植えつけると水はけがよくなります。
- 土を入れる…鉢と苗の間に土を入れ、苗を安定させます。
- 水はけをよくする…根元が少し高くなるように、根元に土を寄せます。
- 水をたっぷり与える…鉢底から水が流れ出るくらいたっぷり水を与え、日なたで管理します。株分けした苗を植え付ける場合は、2~3日の間、日陰に置きます。
- 1年中収穫ができる…葉は1年中いつでも収穫ができます。茎葉が伸びてきたら、枝ごと収穫していきましょう。下の方の葉を残しておけば、また葉が生えてきます。
POINT
日当たりと水はけを良くする
日当たりと水はけが良ければ、タイムはどんどん成長します。タイムは暑さや寒さに強く、比較的育てやすいハーブですが、多湿が苦手なので、水やりは控えめにしましょう。土の表面が乾いたらたっぷり与えるようにします。
収穫後の葉
収穫した葉は、水で軽く洗って食卓へ。タイムは葉が小さいので、枝ごと利用します。
植え替え
- 大きくなったら植え替える…株が大きくなってきたら、大きめの鉢(7~8号鉢)に植え替えます。
- 容器に植え付ける…5~7月に白やピンクのかわいい小花が咲きます。種から育てた場合は開花は2年目になります。5月に花を咲かせてしまうと枯れやすくなるので注意しましょう。花芽は早く摘むようにします。
- 風通しのよくする…茎葉が茂ってくると風通しが悪くなります。こまめに収穫し、風通しをよくしてやりましょう。
POINT
- 花のついた枝…天ぷらなどにして食べることができます。
- 乾燥保存…乾燥保存する場合は、開花直前に枝ごと切り取って、束ねて吊るし、乾燥させましょう。
- 収穫を兼ねて切り戻しをする…タイムは枝葉が茂りやすく、放っておくとすぐボウボウになってしまいます。葉が茂りすぎると株が蒸れて弱ってしまうので、切り戻しを兼ねて適宜収穫するようにしましょう。特に夏場は株の半分を目安に収穫します。
切り戻し
- 古い株を切る…花が咲き終わったら、茶色く木のように固くなった古い枝を、根元近くで切ります。
- 若い枝を残す…切り戻しすると株の負担をやわらげることができます。色のよい若い枝を残しておくと、また新芽が出てきます。
- お礼肥えをする…緩効性肥料を小さじ1杯、根元を囲むように3ヵ所におきます。根を傷めないように、根から少し離れた場所にまきましょう。
- 枝が固くなる…株が古くなると、枝が木の枝のように固くなります。これを「木質化」といいます。4~5年はこのままでも大丈夫ですが、さし芽して株を更新した方がよいでしょう。
- さし芽で更新する…タイムはさし芽で簡単に増やせます。若くて柔らかい枝よりも、木質化した枝の方が早く根が出ます。
タイムの品種
タイムは一般的なコモンタイム以外にも品種はたくさんありますが、ピンクや白のかわいい小花が咲きます。名前によって色や香り、また育つときの伸び方が変わるので、用途に応じて選ぶとよいでしょう。
- オレガノタイム…オレガノに似た香りのする育てやすい品種。夏にピンクの花が咲きます。料理の風味づけに。
- クリーピングタイム(レッド、白)…草丈10㎝以下で地面を這うように伸びるので、芝生のようにして足で踏むと、よい香りが足下からわきあがります。ピンクの花と白い花の品種がありますが、開花期はいずれも5~6月です。
- ゴールデンレモンタイム…草丈10㎝以下で、葉の緑に黄色い斑が入ります。5~6月にピンクの花が咲きます。
- シルバータイム…草丈20~30センチで、葉の緑に銀の斑が入ります。シルバーガーデン素材におすすめです。
- フレンチタイム…ふつうのコモンタイムの香りを良くしたものです。やや寒さに弱いので注意。
- ラベンダータイム…草丈10㎝以下で、ラベンダーに似た香りがあります。
- レイタータイム…非常に細かい葉が地面を覆うように伸びます。強く踏んでも大丈夫なので芝生向き。
- レモンタイム…草丈5㎝以下ととても低く、レモンに似た香りがあります。初夏にピンクの花が咲きます。
苗と容器のバランス
タイムは比較的縦・横とも大きく育つものが多いので、小型種以外は普通のプランターに3~4株、7号以下の鉢なら1株程度が目安です。
フレッシュタイムでおいしい料理
ニンジンのタイムオリーブオイル焼き
ミニニンジンのかわいいおつまみ
材料(2人分)
- ミニニンジン(もしくは普通のニンジン)…500g
- オリーブオイル…大さじ2
- タイムの葉…大さじ2
- バター…40g
- 塩…適量
- 黒コショウ…適量
作り方
- ミニニンジンとオリーブオイルとタイムをボウルに入れて和える(普通のニンジンを使用する場合は、縦に6つ切りくらいの大きさにカットする)。
- 1に塩と黒コショウをふり、クッキングシートを敷いたオーブントレイに並べる(茎の部分は焦げやすいので、緑色を残したければこの部分に小さく切ったアルミホイルを巻く)。
- バターを小さめの角切りにし、ミニニンジンの上にバラバラとのせる。
- 200℃に熱したオーブンで約30分、中まで柔らかくなるように焼きあげる。
まるごとイワシとフレッシュタイムのオーブン焼き
タイムをちょこっと使って大人風味に
材料(2人分)
- イワシ(内臓を取り流水で洗い水気をとる)…5尾
- タマネギ(薄切り)…1個
- プチトマト(半分に切る)…6個
- タイム…5枝
- ニンニク(みじん切り)…1個
材料
- 耐熱皿にタマネギを敷き詰め、イワシをお互い違いに並べる。
- 隙間にタマネギ、プチトマトを並べる。
- 白ワイン、オリーブオイルを表面にふりかけ、ニンニク、タイム2枝からしごきとった葉、塩コショウをまんべんなくかける。
- 200℃に熱したオーブンで25分程度、イワシにほんのり焼き目がつくまで焼く。
- 取り出して残りのタイム3枝を添える。
豚モモブロックのフレッシュタイムグリル
塩麹でやわらか、フレッシュタイムで風味豊か
材料(2人分)
- 豚ももブロック(赤身)…300g
A
塩麴…大さじ1
白ワイン…大さじ1
タイム…5枚
胡椒…少々 - タマネギ(薄切り)…1/4個
- ジャガイモ(4~6等分)…小3個
- ニンニク(薄切り)…1片
下準備
豚もも肉は筋を切りAをまぶし、キッチンペーパーに包んで冷蔵庫に一晩置く。グリルは200℃に予熱する。
作り方
- 200℃に熱したグリルの鉄板にタマネギ、ジャガイモ、ニンニクを並べ、その上に豚もも肉を置く。
- 20~25分加熱し、豚肉の中まで火が通ったら、食べやすい大きさに切る
- 2を皿に盛り、ジャガイモを並べ、タイムを添える。
コメント